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24・雑草の輝き

フレデリック・片岡健一
ロックンロール・ニューズメーカー「ロックする文芸本」より





俺はいつものライヴハウスに来ている。そして今日出演するバンドは俺もヒロシも大好きな、“THE END”のライヴの日だった。そして、そこのボーカルのアキラは俺たちの憧れだった。俺たちはいつも“THE END”のライヴが始まると、気が狂ったように暴れまくっていた。まわりの奴らは俺とヒロシの事を“あばれんぼう・ブラザーズ”と呼んでいた。
「なあ、ヒロシ。今日も楽しかったなあ」
「う、うん」
俺達はいつもライヴが終わると俺の家に来て、レコードを聞きまくるんだ、真夜中だろうが母親に怒られようが関係ねえ。俺はスモーキー・ロビンソン・アンド・ミラクルズの『ティア・オブ・ザ・クラウン』をかけた。
「タッ タッ タッ タラ タタタタタ」
イントロが聞こえてくると俺達は変なダンスを踊っていた。
「ヒロシ、おまえ踊りへたくそだな」
「太郎ちゃんだって」
「バカやろう。俺のこのリズム感がわからねえのか」
俺達はこんな事を言い合いながらいつまでも踊りつづけていた。
「次はバラードがいいな」
「じゃあ、青い影かけてよ」
「ヨッシャ わかった」
「テイ テイ テイテイテイリリ」
そんな事をしているうちに朝になることもあった。そして俺達はまたいつものライヴハウスに行く。今日は俺のもう一人の親友のタカシも来ていた。
「ヨオ タカシ元気だったか」
「いや、それがきのう“F”っていうバンドの奴らに絡まれて大変な目に合ったんだ」
“F”というバンドは俺達の好きなTHE ENDの仲間達をいつも目の敵にしていた。
「よし、ヒロシおまえ“F”っていうバンドの奴らのライヴいつあるか調べてこいよ」
「うん、わかった」
俺はこういう話になると、いつも決まって喧嘩の打ち合わせになるんだ。俺はあいつらのライヴをメチャクチャにしてやると思った。そしていつも決まって警察に一晩やっかいになるのがおちだった。
そんな時、アキラが来ていて俺にこう言った。
「太郎おまえもしそんな事するんだったらもう俺のライヴ観にくるんじゃねえぞ」ってアキラが言った。俺は「だって、俺達の仲間がやられてだまっているわけにはいかねえよ」と言いかえした。
俺はアキラにそんな事を言われたんでショックだった。
「なぁ、太郎お前そんな事したって何の得にもならねえぞ、それに今日これからパーティがあるから来ないか?」
俺はせっかくアキラがパーティに誘ってくれたのでヒロシと一緒に行く事にした。パーティの場所はアキラのバンドのギターのジュンの家だった。俺とヒロシは、あまりパーティなんかに入った事がないから感動してしまった、俺達がよく俺の家で踊りを踊っている雰囲気とはまるで違っていた。
「太郎、ワインでも飲むか」とアキラが俺に気を使ってくれた。
「じゃあ、一杯くれ」
俺はまだ16才だからあまり飲めないけど、その場の雰囲気で酒を飲んだ。その時アキラがジュンに俺達の事をこう言ってた。
「こいつら、まだ16才なんだけど、やたらと気合いの入った奴らなんでよろしくな」と言っていた。俺は今ここにいてアキラやヒロシやジュンや他の仲間達とずうっといたいと思った。本当にみんないい奴ばかりだった。
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