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24・雑草の輝き

フレデリック・片岡健一
ロックンロール・ニューズメーカー「ロックする文芸本」より





俺は今日もまたウイルソン・ピケットなんかを聴いていた。
「ウォー」
「イェー」
「最高だぜBABY」
何はともあれ幸福を感じるってやつだな。
(俺はいつもこんな事ばかり言ってるんだぜ)俺はこれ以外にも、モータウンとかエルビス・プレスリーなんかが好きだった。エルビスの声は最高だな、いつもエルビスの『ラブ・ミー・テンダー』を聴きながら眠るとよく眠れるんだ。

まあ、それはさておき俺の部屋の中にある物を紹介しよう。まずは俺の愛すべきエレキギターだ。これは俺が14才の時に母親に鼻水たらして泣きながら質屋で3千円も出して買ってもらったんだぜ。それにこのギター何だか知らないけどやたらと重くて、ストラップを肩に掛けてギター弾いてると肩が凝ってしょうがないんだ。でも俺の愛するギターには変わりがない。
次は俺のステレオだ。これがまたぼろくてターンテーブルの調子が悪くて、そろそろ新しいのに買い変えようと思っているんだ。
そして俺の部屋の特徴は、ベッドが部屋のド真中にあるって事さ。何故部屋のド真中にベッドを置いてあるかと言うと、俺はとってもめんどくさがり屋で、ベッドの上ですべて手がとどく範囲で出来るようにしてあるためにだ。例えばベッドにいつもの様に寝る状態で左手を出せば、すぐに本棚に触れる事が出来る。その中にある本と言えばシェリーの詩集にジャン・コクトー、オスカー・ワイルズの本なんかさ、それに何と言っても俺の大好きな本はアントニー・バージェスの書いた“時計じかけのオレンジ”さ。そう言えば俺は、主人公のアレックスの真似をしてツケマツゲを左目の上と下に付けて町を歩いた事があったなあ………。
そして俺がそんな格好して家族と食事をしていたら母親が「あんた、そんなアングラ劇の主人公みたいな格好やめなさい」と言った。
俺は母親に「今、これがとってもナウい格好なんだよ」と言ったけどだめだった。そして父親は「おまえオカマか?」と言った。

俺は感受性が人一倍あるんでいつも変人あつかいされる。今日も俺は壁を紫色に塗ったらとっても心が和んでしまった。そしてそんな時は詩を書きたくなるんだ。もう俺が詩を書くようになってから3年ぐらいになる。
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