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24・雑草の輝き

フレデリック・片岡健一
ロックンロール・ニューズメーカー「ロックする文芸本」より





俺の名前は高岡太郎。1963年の雪の降る寒い日に生まれたと母親から聞いている。生まれた時の俺の体重は4500グラムもあって、将来は相撲取りにでもなるんだろうと親戚一同みんな言っていたそうだ。そんな俺も今16才になった。俺の今聴いてる音楽といえばラヴィン・スプンフルやドアーズ、アニマルズ、ドノバンなんかだ。みんな60年代に活躍したミュージシャンさ。何で俺がそんな古い音楽ばっかりに興味を持ったかと言うとFENのおかげさ。しかもFENの中でも最高なのが、ウルフマンジャックショーだ。そして俺はウルフマンジャックの、あのだみ声も気に入ってた。
「ウォー」
「イェー」
「ベイビー」
「ヒア ウイ ゴー」

そして俺の大好きなザ・バーズのミスター・タンブリンマンなんかがかかると、もう俺は鳥肌が立ってきちまうんだ。そして、思わずカセット・テープに録ろうとするんだけど、いつもイントロが削れちまうんだ。だから俺はウルフマンジャックショーが始まると、そのまま、テープを回したままにして録音する事にしてるのさ。
そして、そんなある日の事…。
「畜生め、また今日も、FUCKIN’な一日の始まりか」
時計の針を見たら、もう午後の2時すぎだった。どうして俺がこんな時間に起きるかというと、いつもその前日の夜からラジオを聞いているからさ。いつも次の曲こそ俺の好きなあの曲がかかるはずさと思って聞いてると朝の5時頃になってしまうんだ。そして、今日はとってもいやな予感がするんだ。どんな予感かというと、俺が外に出かけて道なんかを歩いてたりすると、「ヨオ、ニイチャン。肩がぶつかったぜ」などと絡まれて喧嘩がおっ始まるのさ。この間も新宿の紀伊国屋の地下でそんな事があったなあ。
まあ、こんな日はヒロシ(俺のライヴハウスの仲間で、すぐにヘアースタイルを変える変な奴なんだ)にでも電話をかけて、今日は何をするのか決めよう。
「もしもし…………」
「ヒロシか! 今日お前ヒマか?」
「ううん。ヒマだよ」
「じゃあ! いつもの場所で7時に待ちあわせしようぜ」
「うん! わかった」
「じゃあ! またあとでな」
「ガシャ…………」

俺とヒロシは“J”と言うライヴハウスで知り合った仲さ、そして俺達はいつもそこに出演している“THE END”というバンドが好きだった。
俺は、最初ヒロシとはぜんぜん話をしなかった。何故かと言うと、ヒロシはいつもライヴハウスの隅のほうで一人ぼっちで立っていて誰とも口を聞かないんだ。あいつのライヴハウスに来る目的はただ“THE END”のライヴを見に来る事だけにあったみたいなんだ。
でも、俺はそういう奴を見ているとほっとけないんだ。俺はヒロシと話をするきっかけを探した。

そんなある日。ヒロシが変なTシャツを着て来た。そのTシャツにはひらがなで“ぼくは たのしい”と書いてあった。
俺は、「こいつ、バカじゃねえの」と思ったけどなんだかよりいっそう興味を持ったんだ。そして、ある日俺からヒロシに声をかけたんだ。最初にヒロシが俺に言った言葉も覚えてるぜ。
「ね、ねえ。君の鼻は魔法使いの鼻みたいだねえ……」なんて言いやがったんだ。俺は心の中で「ふざけんじゃねえ」と思ったけど、「こいつ面白れえ奴じゃねえか」と、その時俺は思った。
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