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23・ある暑い夏の日の思い出
片岡健一
2002.07.07

今から10年ほど前、フレデリックで1週間ぶっ続けライブをやった。

1ヶ所ならともかく、東京・名古屋・大阪・京都・神戸・埼玉・横浜。全部違う土地で、すべて公園でのライブだった。しかも、8月中旬・・(その年はとっても暑かった!)毎日35度以上の日が続いた。

まだ2、3日目は余裕だったのだが、だんだんワゴンの中でのメンバー間の空気が悪くなってくるのを感じた。それは仕方ない。毎日朝起きてから寝るときまでメンバーとずっと一緒にいるなんて耐えられない。みんなそう思っていたんだろう。しかしうちの事務所は弱小企業なので、ホテルもシングルをとるなんて予算はなかった。
5日目になると、さすがの僕も声の調子が悪くなってきてナーバスの極地になってきた。ライブのとき、自分の表現のあまりのふがいなさにアコースティックギターを地面に叩きつけてしまった。見ているお客さんたちも“なんだこの人は?”と言わんばかりの態度で見ていた。

このツアーは、フリーライブなので不特定多数の人達が見に来ていた。だから子供もいれば、老人もいるし外国人だっている。そういう人達の前でギターを壊す。
バンドマンにとってギターと言う物は、大工さんで言うとノコギリやカンナ・・職人の魂だ。
それを壊すなんて。でもその時はそんな事考える余裕もなかった。

6日目になると、ますますメンバーのイライラがつのった。もう顔を見るのもイヤだ。しかしライブの時間は着実にやってくる。そんな中で、うちのドラムがなんとも言えない顔で「調子が悪いなら悪いなりのライブをやろう・・」と言い始めた。
ライブというのはまさに「生」。生の素顔をただみせればいいんじゃないの?
そう言われれば、一度だって最高のライブだと思った事はない。ただ、最高のライブ絶対やってやると言う意識だけはもっている。ライブと言うのは本当におもしろい。ギターの弦が切れたり、ドラムのスネアに穴があいたり、声が出なくなったり。そうだ、それでいいんだ。
声が出なくなっても気持ちさえあれば。

7日目、場所は名古屋のテレビ塔の下だった。相変わらず声の調子は悪かった。おまけに名古屋でその年いちばんの38度と言う記録的な暑さの日だった。わざわざ東京から見に来てくれたファンの人たちにささえられてライブを行なった。
本当は10曲しかやらないつもりだったが、メンバーみんながやっているうちにどんどん楽しくなって20曲以上やっちゃった。

お客さんたちもみんな最後まで聴いてくれた。どうもありがとう。
音楽っていったいなんなんだ?すばらしい!!
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