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16・片岡健一(フレデリック)×倉持陽一(真心ブラザーズ)
爆発対談パラダイス
ロックンロール・ニューズメーカー No.22(1990.07)より


東京生まれのバンドって、
お客さんよりも“絶頂”が欲しいのかもしんない。


きばらず、あせらず、普段着のままロックする東京生まれの東京育ちの2人。
真心ブラザーズの倉持陽一とフレデリックの片岡健一。
ふらっとステージに上がりそのまま“深み”にハマった2人の共通項とは何なのか?
初顔合わせが実現した。

片岡:なんか昔ぼくたちのライヴ見たことがあるってことなんだけど、それいつ頃?
倉持:うんとねえ、2・3年前の大晦日だったかなあ。たくさんバンドが出たイベントがあって。
片岡:はいはい。わかったわかった。グレリチとか出たイベントね。それ大晦日じゃないでしょ。
倉持:大晦日じゃなかった?(笑)。
片岡:あれ、5月くらいだよ(笑)。いっぱい出たから大晦日に見えたんだろうね。あれは10個ぐらい出たよね。ベルズがトリでストラマーズとかも出た。
倉持:あん時ねぇ、カステラの大木さんと一緒に後ろの方で見ててねえ。そん時はじめて見たんですよ。ふたりで酔っぱらってふらふらしながら(笑)。
片岡:カステラも早稲田だよねえ。早稲田最近多いよねえ、バンド。
倉持:大木さんはサークルの一年先輩なんですよ。
片岡:すごいサークルだね。なんていうサークル?
倉持:えっとねえ、GECっていうの。
片岡:GECってアレ?自分を慰めるってやつ?
倉持:違う違う(笑)。あー、でもそれいいなあ。日本語名がね、早大ギターを楽しむ会っていうんですよ。フォークの頃からあって歴史があるの。で、ギター・エンジョイ・クラブを略してGEC。あとね、斜め向かいにMFCってサークルがあるんですよ。そこがねえ、日本の社長がいた所。
片岡:宮尾すすむと日本の社長だね。あれもエピックだよね。
倉持:そうそうそう。ライフサイズ。
片岡:なんかみんな道を踏み外していくね(笑)。ぼくはねえ、レコード聴かせてもらったんだけど、倉持くんって頭が柔らかそうだよね。別にバカって意味じゃなくてね(笑)。頭が柔らかくないと、ああいう歌って書けないよね。
倉持:ありがとうございます。ぼくは、フレデリックの今度のアルバムのテープを聴かせてもらったんですけど、ダミ声がいいですよね。ぼくねえ、ダミ声に弱いんですよ。拓郎とかスライダースのボーカルとかボブ・ディランとか。一時自分でもマネしてダミ声出してたんですよ。
片岡:でも、ダミ声ってそればっかりになっちゃうとつらいんだよね。ぼく、この間ヴォイス・トレーニング行ったんだけど、そこの先生に「だめだーよ。こんな声出してちゃ」って怒られちゃってね(笑)。だから、ボブ・ディランが一年酒も煙草も断って作ったダミ声じゃないレコードってあるんだけど、それ聴くと感動するんだよね。あれはなんてタイトルだったかなあ。ジャケットが、ボブ・ディランが写ってて、それをカメラを持ったヘンな人が写してるシーンのやつ。ええと、なんて題名だったかなあ。忘れちゃった。じゃあ、それ忘れちゃったから次の話題いきましょう(笑)。
倉持:もうどんどんいきましょう。
片岡:いいのかなあ、こんなんで(笑)。あ、でもこの対談一応テーマが“東京”ってことなんですけど、なんでみんなバンドやる人って東京に来るんだろうね。ぼくの知ってるバンドでヒート・ウェイヴっていう九州の人たちがいるんだけど、なんかね、やたらと“東京モンは――”って、いい意味で東京への偏見持ってるの。でも彼らもとうとう東京へ来てしまったんだよね。なんなんだろうねそういうのって?普通のバンドなんかもっとそういうこだわりなしにどんどん来るもんね。
倉持:うーん、東京に来ると楽だからじゃないですか、活動するのに。レコード会社もあるし。
片岡:なんか欲しいものを得るまでに色々なシチュエーションを経験して来るとありがたみがあったりするけどね。ぼくたちはずっと東京に住んでるからよくわかんないんだけど。でも、地方のバンドの方が“よしやったろうかい”っていう意気込みはあるよね。
倉持:あー、それはありますよね。地方のバンドの方が成功するとデカイですよね。
片岡:やっぱり出て来る時、いろんなもの捨てて来るだろうからね。だから、ぼくなんか“お前は甘いんだ”って言われちゃうんだけど。でも東京のバンドは東京のバンドでカラーがあるよね。ぼくねえ真心ブラザーズはずっと三多摩のバンドだと思ってたんだよ。なんかそういう感じしない?
倉持:そうですか?立川とか?ところがねえ、違うんですよ。
片岡:ホントはどこの生まれ?
倉持:それはねえ、一応秘密にしてるんです(笑)。都内の北の方なんですけどね。
片岡:あ、ホントに?じゃあ意外と近いかもしれない。ぼくはねえ、練馬の大泉学園。
倉持:大泉学園のどの辺ですか?
片岡:大泉学園の大泉学園(笑)。今は親とは別に住んでるんだけどね。倉持くんはまだ実家?
倉持:そうです。わりといつもヒマでごろごろしてたりするんで、姉から「あんたも大学卒業したんだからちょっとは家にお金入れなさいよ」って言われちゃって(笑)。
片岡:へーっ。でも、あれでしょ?テレビとか出てると家族に色々言われるでしょ。
倉持:もう言われるなんてもんじゃないですよ。食卓の話題、そればっか(笑)。親父は木型屋っていうカメラを作る前に木でその模型を作ったりする仕事してて。いわゆる職人なんですけどね。俺がテレビ出てるっていうのが将来不安でもあり、でも嬉しいみたいに感じてるらしくて「あの歌はちょっとアレだったな」とか、いっつも言って来るんですよ。「俺、詞書いてやろうか」とか。おおきなお世話だって言うんですけどねえ(笑)。
片岡:あー、なんかいいないいな。昔のテレビ・ドラマみたいだよね。ちゃぶ台があって。ウチもね、近いかもしんない。ウチは商売やってたんだけど、色々替わったんだよね。焼肉屋になったり鰻屋になったり。
倉持:それは変わってますね(笑)。
片岡:で、俺が店に出たりしてお客さんがお小遣いくれたりするじゃない。そうすると親父が「どれどれ」って見に来てピンハネするの(笑)。
倉持:それ、すげえー(笑)。いやー、でも結構育って来た環境って似てるかもしれませんね。衣裳もお互い普段着だし。
片岡:ああ。東京出身のバンドって意外とそういう人多いよね。でも、真心のライヴってMCがすごく上手いよね。なんか寝起きみたいでさあ(笑)、いいよね。
倉持:あー。あれはねえ、人前に出るとなぜかああなるんですよ。
片岡:照れない?俺ダメなんだよね。なんかやってるうちに照れてきちゃって。歌ってて恥ずかしくなっちゃうことがあるんだよね。
倉持:そういうの俺もありますよ。一生懸命やってるんだけどどっかで醒めて自分を見ちゃうの。
片岡:でしょ?俺もそうなんだよね。気が弱いんだよなあ。だから、そういう時はやっぱりパンツ見せないとダメだって思うんだよね(笑)。あと、酒やブロンに頼るとか。
倉持:あぶないあぶない(笑)。
片岡:だから、倉持くんってテレビにあんなに出ててすごいなあと思ってね。俺なら緊張してモノ壊し始めちゃうかもしれない(笑)。
倉持:あ、でも緊張はしますよ、当然。でも、たとえば間奏の時“A、OH!”なんて叫んだりするじゃないですか。そういうのがキマるとね、すごく楽しくなって、どんどん歌にのめり込んでいくという。そういうスリルはありますね。
片岡:そうか。俺もお客さんはどうでもよくて自分たちがとにかく絶頂へいきたいっていうのはあるけどね。でも、いつもそこまでいかなくてね、ついつい色々なものに頼ってしまうんだよね。
倉持:色々なものね(笑)。
片岡:うん。だからきっとあれなのかな。東京のバンドって自分勝手というか唯我独尊というか。
倉持:それはあるでしょうねー。そういえば、この間近所のバス停でエレファントカシマシの宮本さんを見かけたんですけどね。神田明神行きのバスに乗って行きましたよ、彼は(笑)。
片岡:それも唯我独尊だよね(笑)。でも、東京ってやっぱりみんなの“勝手”が通るのがいいよね。だからきっとみんな来るんだろうね。

●片岡健一
LOVES:うなぎ/みそ/しお/ごはん/おしんこ/うに/いくら/しゃけ/
つくだに/さきいか
HATES:なし

●倉持陽一
LOVES:長嶋茂雄/健康/おいしいコーヒー/青空/うみ/ほのぼのとした老人/
ゆったりできる音楽/朝/昼/夜
HATES:はちまき/近眼/ゆず/わずらわしい事/暴力ふるう人/攻撃的な人/
わかりにくいもの/雨/不潔な人/あつかましい
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