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03・THE LONDON TIMES インタビュー
THE LONDON TIMES

いつも、何か見返りを期待してるんだ、僕は。

やけにノスタルジックだったり、やけに批判的だったりと、The London Timesの歌には様々な色があり顔がある。そのクリエイターであるボーカルのサンペイ君がどうも気になる。一見、普通の男の子なんだけど、でも実は何かあるんじゃないかなぁと…。最近はどうですか?と聞くと「取りあえず今、痩せようとしてるんです。」と答えたのには思わず笑ってしまった。普段は飄々と、ステージ上とは全く別人の様に呑気そうに笑って見せる、そんなサンペイ君から生まれる歌には、いつも緊張と安堵が不思議に同居している。

── 曲を作り始めたのっていつ頃?
「えっとね15くらい、中学の頃かな。バンドやってて…、最初はディープ・パープルとかもやったしね(笑)。まあビートルズを結構やった。」
──オリジナルをやる様になったのは?
「その一年後くらいで、高校一年の頃。」
──その頃から今みたいな曲を?
「ううん。全然違う。その頃は歌詞も幼くて、あのね、よくある“好きだぜベイベー”みたいな、そういうカンジ(笑)。ほとんどカッコいいってだけでロックを見てたって時期だったから。」
──で、今みたいな曲を作る様になったのは
「うん、ある時期に極端に変わったね。あのね、高校卒業して僕は就職したんです。赤坂の東急ホテルの中にある天ぷら屋なんですけど…、そこで仕事してて、毎日ゴミを捨てにいくんだけど、そういうときに僕と同じくらいの年頃の奴がベンツとかBMWとか乗りつけて、チャラチャラした恰好で来てね、で何でこんなに違うんだって…、で、これは本腰入れて音楽で何かやらなくちゃいけないなって思った。うん、詞の面ではその辺が原点って言うかその辺から確立されてきたんじゃないかなあ。何か漠然としてるんだけどね。その頃にねロンドンに行きたいって思って。その頃の日本の音楽ってテクニック志向みたいだったの。カシオペアとか、ああいうノリ。でイギリスではジャムとか出てて、詞とか見ると凄いっていうか“オレもそう思う”って賛同出来たし、でイギリスに憧れて、もう行ってしまいました、僕は。」
──行ってまた何か変わった?
「うん、結局大して変わってないけど、得るものはあった。そのころのイギリスって失業者がピークの頃で、向こうの若者、友達でも軍隊に行くか失業手当で暮らすかどっちかみたいなかんじで…。でもそういうハングリーさっていろんなものに影響されるって言うか、逆に何か凄いパワーみたいなものを感じるよね。」
──サンペイ君は毎日何をやってたの?
「毎日、近所のお菓子やさん行って(笑)。親戚の家があって、そこに居たんだけど、何かブラブラしてた。ゴルフ場が近くにあって、そこがきれいだからよく行った。ケント州っていう所。ロンドンに行くにも一時間位かかる、長閑でいいところ。」
──その時に歌を書いたりとか…
「その時にしなかった。でも随分、行ったことで成長したって気がする。」
──音楽的にも?
「そう、帰って来て一年くらいは随分作った。今やってる中に、その頃の曲もあるよ。」
──メロディとか凄く綺麗だなぁって思えるのが多いんだけど、その辺は…
「自分で意識してるもんじゃないけど、そんなにきれいな曲を作ろうって意欲もないし…、でも自分だけが持ってるメロディを大事にしたいなあっていう欲求はあります。」
──メロディが先に出来る?
「うん大体。でも一緒に出来るときもある。そういう時の方がいい曲が出来る。」
──メロディの持つ雰囲気に合わせて詞を…
「うん、例えば抽象的な歌詞とかって、本読んでて何か情景が浮かんで来る様なニュアンスと同じで、そのメロディを聴くことで風景が見えたりとか、何かをしてるとかがリアルに出てきて、そういうのが歌詞になるの。」
──抽象的な歌詞って現実的なのよりも、何か絵を見てる様な美しさってあるよね。
「うん、そうだね。あと、よく言いがちなんだけど、時代背景が大事っていうか、例えば60年代とかってベトナム戦争があったりとか、何か人々のパワーってのがケタ違いだったと思うんだけど、そういう中で言われてる事ってリアルだし、重さもあるし伝わってくるし…。でも今はちょっと違うと思うんだ。また今は今で抽象的なモノとかが現実的なのかも知れないし。今の時代は、そういう所があるのかなー。僕も今、それを勉強してるんですけど(笑)。」
──でも『無気力な時代』とかってそういうのとは少し違うよね。
「僕の歌って社会的なものとかもあって、多分意識して歌ってるんだと思う。うん、批判的な歌とか歌うことによって、自分に見返りが来るってことを何か期待してる、僕は。当然それに対して反発があって、それが快感になったり。」
──自分の歌ってることに反発される所に快感を覚えるという…
「快感っていうか、そういうことがあって欲しい。あって当たり前だし。」
──じゃあ賛同されるより反発されたいって気持ちの方が強いの?
「うん、そうだね。要するに少数派が好きなのかな、僕は(笑)。そういう気がする。野球とか観てても、どんなチームでも負けてるほうを応援するの。それで勝つと嬉しくなるの。何でもそう。」
──弱い者の味方でいたいとか?
「弱い者って、何か期待感を与えてくれるんだよね。」
──自分のやってる音楽に関しても、そういう少数派でいたいっていう姿勢なのかな。
「まぁ、僕の欲求は、知れ渡って欲しくないって言うのもあるけど、少数派でいたいっていう…。でも多分、そうはならないでしょう(笑)。」

歌は、その作り手の体験や生活、思考の凝縮であり一つの表現なのだが、それを聴いたとき、その作り手がよく見えて来る場合と全く別のイメージが浮かんで来る場合とがある。彼の場合は曲によって前者であったり後者であったりと、一つに括れないところが面白い。色々な顔を覗かせては引っ込め、今一つ掴みきれない。何度聴いても飽きない理由は、その辺にあるのかも知れない。
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